DIAMアセットマネジメントの平川康彦ファンドマネージャーは「株価と国際商品市況はともに金余りとリスク許容度の緩みが加わったことで、短期的には行き過ぎた面がある。いったん日柄と値幅の調整が必要な時期に来ている」と指摘した。世銀の見通し変更による影響が大きくなったことについては、「内容に驚いたというより、戻りきって高値警戒感の中で出てきたため」と見ている。 急激な戻り相場が一服し、自己破産本格的な調整局面に入る兆しが出てきた。先行していた米ダウ工業株30種平均に続き、日経平均もきょう投資家の短中期的な売買コストを示す25日移動平均線を割り込んだ。25日線を終値で下回るのは4月28日以来、ほぼ2カ月ぶり。「しばらくはスピード調整が続く」(大和投資信託の長野吉納シニアストラテジスト)との見方がある。 世界銀行は22日に公表した報告書で、ことしの世界の経済成長予想をマイナス2.9%と3月時点のマイナス1.7%から下方修正した。米国はマイナス3%と、前回のマイナス2.4%から引き下げられた。「世銀の見通しは日米欧、新興国の景気対策が徐々に効果を表し、年後半から回復するというシナリオを否定するようなものだ」と、SMBCフレンド証券の中西文行ストラテジストは話している。 世銀報告は、きのうの日本や中国などでは大きな売り材料とはならなかったが、欧州や米国では売り材料視された。「中国を中心とした来年の景気回復への期待感からアジア投資家は危機感が薄かった」防犯カメラ(立花証券の平野憲一執行役員)一方、ことし後半からの回復期待が特に強かった米国でむしろ影響が大きくなった。米国株安に加え、急激な円高進行も日本株の下げ拡大につながった。 米国では23日から24日まで米連邦公開市場委員会(FOMC)の開催、24日の耐久財受注発表などが控えている。立花証の平野氏は、「これまで上昇相場の両輪となった『ファンダメンタルズ』と『需給』いずれの面でも今週は重要な週になる」と指摘。仮に米ダウが5月15日安値 8268ドルを割り込んでくるようなら、「3月からの上昇相場は終わったことになる」と警戒する。 日経平均の当面の下値めどとしては、前回高値だった5月11日の 9451円、200日線9058円などが意識されている。ただ、DIAMアセットの平川氏は水漏れ「3月からの上げ幅の半値押し程度までの下落はリズム的にも自然な流れ。TOPIXは800ポイント、日経平均は8500-8600 円程度まで調整する可能性がある」と予想していた。 東証1部の値上がり銘柄は193、値下がりは1453。個別に材料が出た銘柄では、炭素繊維の本格回復は2010年後半からだとしてクレディ?スイス証券が格下げした東レが急落。09年2月期の粗利益率が悪化したことや今期予想が市場予想を下回ったことなどから、ツルハホールディングスは急反落した。構造改革への危機感やスピード感が足りないとし、大和総研が格下げした三越伊勢丹ホールディングスは4日ぶりの反落。 半面、変換効率で世界最高性能の薄膜型太陽電池を量産できる一貫製造システムを開発した、と23日付の日本経済新聞朝刊が報じたアルバックは急伸。円高?原油安に加え、トイレ つまり大和総研が強気判断を強調したパルプ?紙では、日本製紙グループ本社が3日ぶり反発した。 新興市場も安い。ジャスダック指数の終値は前日比0.63ポイント(1.3%)安の46.98と続落。東証マザーズ指数は10.78ポイント(2.5%)安の428.44と反落した。大証ヘラクレス指数は16.16ポイント(2.5%)安の636.09と3日ぶり反落。 個別の材料銘柄では、インプラント 石川転換社債型新株予約権付社債(CB)の買い入れ消却を受け入れたことで51億円の社債消却益が発生し、いちよし経済研究所が22日付で目標株価を4万5600円としたUTホールディングスが値幅制限いっぱいのストップ高。増収増益基調や株価の割安さが評価されているホリイフードサービスは年初来高値を更新。 半面、資金調達が困難な状況にあるとして、「事業再生ADR手続き」を22日付で申請した日本エスコンが急落。売買代金上位ではセブン銀行、サイバーエージェント、ダヴィンチ?ホールディングスが下げた。 |