周囲に高齢者が増えている
真岡市の渡辺真弓さん(48)=仮名=は4月から、高校を卒業したばかりの若者に交じり、宇都宮市内の専門学校に通う。携帯電話や自動車の基板を製造する茨城県結城市の工場で約7年間、正社員として勤めていたが3月に失業。現在、県が専門学校などに委託して実施する離職者向けの職業訓練を受講し、2年間で介護福祉士の資格取得を目指す。工場は昨春すぎから減産が始まり、秋の世界的な景気悪化が追い打ちをかけた。残業や休日出勤がなくなり、給料はピーク時の半分以下に減った。「(会社には)先が見えないと言われ、将来に不安感もあった」。渡辺さんはハローワークで仕事を探し始めた。しかし、求人は薬剤師や看護師、保育士など専門職ばかり。「年齢的なこともあり、今から勉強して資格がとれるのは介護福祉士かな」。
実家で両親、祖母と4人で暮らす。周囲に高齢者が増えている現状も、介護の仕事を選ぶ後押しとなった。唯一、堅調が続いている「専門職系」は同4.9%増で9カ月連続のプラス。「看護師」「薬剤師」「福祉?介護?保育」も引き続き求人ニーズが高く、時給水準も堅調に推移している。一方、メーカーでは、一部に生産回復に伴う人員採用再開の動きが出始めているものの、時給の動きに影響はない。製造工を含む「技能?労務系」は23カ月連続のマイナスで、全エリアで前年を下回った。工場でのモノ相手の仕事から、180度の転換。「人を相手にする(介護の)仕事は、楽しい、つらい、楽しいの繰り返しですね」。
施設での実習や試験勉強に奮闘する日々だ。職業訓練生は、2年間で計160万円の学費が国の雇用対策予算で免除され、失業給付や訓練手当も支給される。しかし、毎日の生活は楽ではないという。「住民税や国民健康保険、年金を払うと、残るのはわずか。蓄えがない人にはかなり厳しい」と打ち明ける。6月の有効求人白ロム率が0?37倍で、全国順位も過去最低の36位まで落ちるなど、県内の雇用情勢は引き続き厳しい。今回の衆院選のマニフェスト(政権公約)で、自民党は失業者対策として、国が企業に助成する雇用調整助成金制度の維持のほか、医療?介護などの分野での雇用創出や3年間で100万人の職業訓練の実施を掲げた。労働局によると、景気の先行きを示す新インプラント 東京求人数は1万209人(同1565人増)だった。背景には、県内に本社がある飲食店から大量の求人があった国の緊急雇用創出事業による助成金で、自治体が保育士や看護師などを職員として臨時雇用したためという。一方、今秋にはパナソニック岡山工場(備前市友延)の撤退などが決まっており、雇用情勢に影響を与えると見られる。労看護師 求人は「不安材料が多く、景気が底をうったかどうかは今後の動向を見て判断したい」としている。民主党は、失業給付の切れた人や、雇用保険対象外の非正規雇用労働者、自営業を廃業した人を対象に、職業能力訓練を受けた日数に応じ月額最大10万円を支給するとしている。人材サービス会社のインテリジェンス(東京?千代田)が11日まとめた7月の全国平均アルバイト時給は前年同月より1.0%安い965円だった。
2カ月ぶりに前年同月を下回った。「専門職系」に含まれる看護師や福祉?介護関係などは人手不足感が強く時給が上昇したが、受付や秘書を含む「事務系」などほかの多くの職種では求人よりもエステ職者が多い状況が続き、時給が上昇しないという。職種別では医療?介護関係や塾講師などを含む「専門職系」が前年より4.9%高い1196円だった。「事務系」は5.1%安い965円、製造工などの「技能?労務系」は4.2%安い940円だった。同社は「求人数は6~7月が『底』だったとみられるが、時給は引き続き低い水準で推移する」と見ている。渡辺歯科 北浜んは「介護の現場を本当に知っているのだろうか。まずは働きやすくするための努力をしてほしい」と自民党に注文をつける。民主党の政策は「非正規雇用労働者や自営業をやめた人にまで目を向けている」と一応評価するが、「どちらも選挙目当てのようにしか思えない」というのが本音だ。毎日新聞が立候補予定者を対象に実施したアンケートで、1区の自民?船整体 大阪氏は「雇用調整助成金の拡充。緊急雇用創出事業基金の積み増しにより、雇用の創出に努める」と回答。民主?石森久嗣氏は「雇用保険と生活保護の間をつなぐ求職者支援制度の創設」など、失業者に対する生活?就職支援策の拡充を掲げた。渡辺さんは「無党派層」だが、前回の05年衆院選では自民党に一票を投じた。郵政民営化を唱える小泉純一郎元首相に強いリーダーシップを感じたからだ。「今は自分たちの政党を守ることばかり。選挙のための政治はやめてほしい」。真に政治を変えられるのはどの政党か。30日の投票日まで、見極めが続く。